卵子提供者と代理母の関係

不妊治療の中で行われる体外受精や顕微授精を行う際に、卵子の提供を受けて行う場合があります。遺伝的な関係と分娩による出産が別々の女性というケースが発生する場合に、生物学が先行しており法整備がまだ追いついていない現状があります。

自然分娩を行った女性が母親となります

民法779条の規定に基づき、父または母が認知出来ることになっていますが、自然分娩により認知不要で親子関係が発生します。
最高裁判所昭和49年3月29日、昭和54年3月23日判決により、母と子の関係は自然分娩により認知しなくても当然に発生すると判例においても認知不要とされています。

生物学が急速に進歩したことにより、子宮に問題があり妊娠が難しい場合に卵子提供を行い代理母出産を依頼した場合には、自然分娩を行う代理母が母親ということに民法上では自動的になります。この点は、最高裁判所平成19年3月23日判決により、代理母が法律上の母となることが確定しています。

このため、卵子提供者が母親となるためには、特別養子縁組を行い親子関係を創設する必要があります。同じ最高裁判所平成19年3月23日判決内で、不合理な判例の救済措置として代理母に問題が無い場合であっても、卵子提供者と子の間で特別養子縁組を認められる可能性が高いことが裁判官の補足意見として掲載されています。法整備が遅れている点を判例により補足している取り組みです。

民法の改正案が引き続き検討されています

法務省が民法改正に関して、生殖医療により生まれた子に対する親子関係の特例を定める要綱を提示し、意見聴取を求めた結果を公開しています。
「精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療により出生した子の親子関係に関する民法の特例に関する要綱」として法務省のホームページに掲載されており、現状では遺伝上の母と分娩を行った代理母の間で争われる親子関係に関する訴訟が相次いでいる点を是正するために法整備が進められています。

現状では、卵子提供者である遺伝上の母は特別養子縁組が認められなければ母・子関係は認められません。しかし、不妊治療の一環として代理母による出産以外に手立てが無かったことに対して、確実とはいえない特別養子縁組を行わない限り親子関係が認められないという現在の規定に法整備の遅れが認められます。倫理的な意味合いが含まれていることから、民法改正が引き続き行われて特例によるものではない親子関係の創設が認められることが重要となります。法整備が完了することで、卵子提供者と代理母による訴訟も収束に向かうと期待されています。

INFORMATION

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